Splinkが研究協力を行った深層学習による海馬磁化率解析に関する論文が「Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載されました | 株式会社Splink
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Splinkが研究協力を行った深層学習による海馬磁化率解析に関する論文が「Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載されました

名古屋市立大学の柴田治人先生を筆頭著者とし、株式会社Splinkも研究協力を行った論文「Deep-Learning Assessment of Hippocampal Magnetic Susceptibility in Alzheimer’s Disease」が、Journal of Alzheimer’s Diseaseに掲載されましたことをお知らせいたします。本研究成果は、アルツハイマー病における神経変性の評価に新たな可能性を拓くものです。

当社はディープラーニングモデルの構築と、モデルを用いての実験および検証に寄与しました。当社が開発したディープラーニングモデルは、定量的磁化率マッピング (QSM) 画像から正確に海馬領域を抽出し、その磁化率を直接計測できるように構築されており、今後の展望として海馬以外の領域や磁化率分離の解析すなわちアルツハイマー病 (AD) を始めとした神経変性疾患の画像研究にも応用が期待できます。

Journal of Alzheimer’s Diseaseは、アルツハイマー病および関連疾患の研究を専門とする国際的に権威ある学術雑誌であり、同分野の最新の研究成果が発表される場として広く知られています。このたびの採択は、研究内容が高く評価された証といえます。

本研究の概要

本研究では、定量的磁化率マッピング(QSM)を用いたアルツハイマー病の解析において、海馬の磁化率を正確に計測するための深層学習モデルを構築しました。このモデルは、3D残差UNETという畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を基盤としており、以下のような成果を挙げています。

  • 高精度な海馬セグメンテーション:モデルの平均Dice類似度係数(DSC)は0.716 ± 0.045を達成。
  • 磁化率の正確な計測:手動セグメンテーションとの相関係数は0.983を記録。
  • 海馬容積との相関分析:左海馬で-0.252(p=0.012)、右海馬で-0.311(p=0.002)のピアソン相関係数を示し、容積変化との関連性が明らかにされました。

これらの成果により、深層学習を活用した解析手法が、アルツハイマー病の早期発見や診断精度向上に貢献することが期待されます。


今後の展望

本研究で開発されたモデルは、名古屋市立大学関連施設で撮像されるQSMデータを活用しており、今後、海馬以外の脳領域や磁化率分離解析への応用が見込まれます。弊社は引き続き、アルツハイマー病を含む神経変性疾患の早期診断と治療に資する研究開発を推進してまいります。

詳細についてはこちらをご確認ください。

https://doi.org/10.1177/13872877241300278